カササギ殺人事件 アンソニー・ホロヴィッツ [本]
「年末ミステリランキング全制覇、驚異の傑作」という宣伝文句にひかれて読んでみた。
ちなみに、年末ミステリランキング全制覇、というのは
「このミステリーがすごい!」・・・別冊宝島社
「週刊文春ミステリーベスト10」・・・文芸春秋社
「ミステリが読みたい!」・・・早川書房
「本格ミステリ・ベスト10」・・・探偵小説研究会編著 原書房
以上4つのランキングでいずれも1位ということだそうだ。
著者のアンソニー・ホロヴィッツは正直、聞いたことがなかったが、この謳い文句、この実績だけでも期待に胸が踊る。
カササギ殺人事件は、赤い上巻とブルーの下巻の2冊仕立て。
現代が舞台となるストーリーに、1955年を舞台に描かれた推理小説「カササギ殺人事件」が組み込まれた構成になっている。上巻はほとんどこの組み込まれた方の小説。
しかも、その組み込まれた方の小説は、後少しで犯人がわかる!というところで切れて、ストーリーは現代に移ってしまう。(ここから下巻)
そして、その現代でもこの小説を巡って事件が起こり、読みながら、上巻の方の犯人は気になるし、現代の事件の方の犯人も気になるしで、一気に最後まで読み進んでしまうという、まさに傑作。
上巻の事件は、1955年のイギリスの田舎を舞台にしており、お屋敷の貴族、その妻と彼女の愛人、牧師、医者、怪しい骨董商夫婦、家政婦とその息子、彼の婚約者、など、登場人物も場所の雰囲気も、アガサクリスティの世界そのもの。名探偵のアティカス・ピュントも、エルキュール・ポワロを彷彿とさせる。
上巻、下巻、二つの殺人事件は、トリックというよりは、丹念に人物の人となりを調べ、殺人の動機を徹底的に洗っていって犯人がわかる、というもの。読み飛ばすと、解決の醍醐味が薄れるかもしれないからご注意を。
面白くて、これを読むために夜のインターネットを自粛した。
ミステリランキング全制覇は、伊達ではない。
タグ:海外ミステリ
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