ねじれた家 アガサ・クリスティー [本]
大きな屋敷に住む大家族。
大金持ちの実業家の老人が、インシュリンのかわりに目薬を注射されて、死亡する。
若い後妻。その愛人。
長男夫婦。
次男夫婦。その子供達3人。
チャールズ・ヘイワード青年は、この家の次男の娘ソフィアと婚約中。
父が警察の偉い人なので、コネをつかってこの家に潜入し、殺人犯人を捜す。
探偵役のチャールズが警察の偉い人の息子、ということで、なんとなく浅見光彦みたいなのだが、とにかくみんなみんな怪しい。だれが犯人でもおかしくない。みんなが老人を殺す動機を持っているのだ。
そして、第二の事件がおこり、とっても意外な犯人が明らかになる。
・・・と語ると、だいたいいつものクリスティーのパターンで、特に変わりはないような印象を持たれるかもしれない。しかし、この「ねじれた家」は、私個人としては、いつもとぜんぜん違う、と言いたいのだ。
いつものクリスティーだったら、
・事件はもっとブラッディだけど、パズルじみて、悲惨でない。
・もっと何回も殺人が起こる。
・動機、方法、その後の推理が、もっと理論的。
でも、これは違う。「ねじれた家」は
・殺人は毒殺で、だれにでもできる方法。血みどろではない。でも、陰惨な感じがする。
・殺人は、冒頭に一回だけ。あとは未遂。
・なんだか、いろいろ曖昧なんだよね。
かつて、クリスティーは、語り手が犯人、登場人物全員が犯人、全員が死ぬ、など、従来の探偵小説のセオリーを壊すことで斬新なトリックを創造してきたわけだけれど、これも、セオリーから外れている作品なのかもしれない。アガサ自身も、「ねじれた家」を自分のお気に入り作品の上位に入れているという。
つまらない作品ではない。
解明のヒントはいろいろちりばめられているのも、さすがだ。
でも、私の好きな部類ではないかも。
タグ:海外ミステリ
2019-04-16 21:41
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