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クリムト展 東京都美術館 [美術館]

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クリムトは日本文化の影響を強く受けている、という。
先月、根津美術館で光琳の「燕子花図屏風」を始め、琳派作品をたくさん見たばかりだったし、いや、そうでなくても、日本で暮らしていれば、これはすごく納得できるような気がする。

見れば見るほど、どこか懐かしい。金箔の多用は屏風や漆器を思わせるし、背景やモデルの衣装の色柄は、振袖や帯の模様そのものだ。

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グスタフ・クリムト《女の三世代》部分 1905年 ローマ国立近代美術館

モデルに日本の打掛を着せたモネや、広重の構図をそのまま作品にしたゴッホよりも、クリムトはさらに巧みに「日本風」を作品に取り込んだと言えるのかもしれない。

とは言え、こういう世紀末の爛熟した、エロスとタナトスにどっぷり浸った感じは、日本美術では感じたことがないような。

そもそも、日本で「世紀末」は重要だったろうか。19世紀末は明治32年。富国強兵でイケイケだったかもしれないし、20世紀末は記憶に新しいが、パソコンの年号問題でヒヤヒヤドキドキだった。エロスとタナトスにどっぷり浸る余裕なんて、なかったのよね。

で、いつものことだが、「あ〜、ウィーン行きたい」とブツブツ呟きながら帰ってきた。クリムト見ればウィーン行きたい。モネ見ればフランス行きたい。大変に乗せられやすい、困った性分である。


*観覧日は5月30日(木)のお昼頃。チケット売り場は空いており、入場の待ち時間は15分くらい。場内の混雑も、思ったほどではありませんでした。








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middrinn

根津美術館から梯子すれば、ヨリ有意義になりそうな御様子(^^)
芸新の今月号掲載の西川智之「ジャポニストとしてのクリムト」は、
金色の使用、平面性、風景画の視点という3つの観点からクリムト
絵画のジャポニスムを論じていて、特に蒔絵との共通点を指摘して
ました(^^) だけど、たしかにクリムトのようなエロスやタナトス、
世紀末を強く意識した日本のアートは思い浮かばないです(^_^;)
by middrinn (2019-06-05 13:07) 

YURI

芸術新潮、優れものですね。購読しようかな...
日本では世紀末よりも「改元」の方が重要かもねえ。もちろん、エロスもタナトスも関係ありません(^^;
by YURI (2019-06-05 20:55) 

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