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水車館の殺人 綾辻行人 [本]


水車館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

水車館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

  • 作者: 綾辻 行人
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/04/15
  • メディア: 文庫



「十角館の殺人」に続いて、「新本格」も佳境に入る綾辻行人の2作目。

十角館のところに、「私はそういう(名探偵、大邸宅、絵空事のような惨劇と大トリック)作品が大好き」なのだ、と書いた。確かに、水車館の殺人は、水車と塔のある大邸宅、雷の夜の惨劇、白いゴムの仮面の主人、20歳も年下の美少女の妻、と、まあ「これでもか」という大掛かりな道具立てなのである。

ところが、実は未だ完読できない。

何となく、犯人が分かっちゃったような気がして。

いや、最後まで読まなければ、事件の詳細は決して明らかにならないことは分かっている。でも、白いゴムの仮面を被った男が出てきた時点で、中身がすり替わっていると考えるのは自然。(だって、つい角川映画の「犬神家の一族」を連想してしまうから)

物語の構成は、1985年と1986年の9月の出来事が、交錯しながら描かれている。85年の方は誰のというわけでなく俯瞰した視点から、86年の方は白い仮面の主人の独白の形で。

この視点の違いによって、巧妙に犯人が誰なのか隠されている(ような気がする)。

でも、最初から「白い仮面の男」を怪しいと思ってしまったら、やっぱり、違うんだよね。85年と86年では。(そんな気がする)

というわけで、なかなか先へ進まないうちに、他の本に手をつけなどして、うだうだ。

この作品を完読して結末を知っている人は、きっとこの文を読んで、「ばかだなあ」と冷笑するかもしれない。全く意外な犯人、意外な結末、意外な動機や犯罪の背景が、この先に描かれているのかもしれない。

だから、完読したらここに戻ってきて、謝罪なり勝利宣言なり、させてもらうことにします。

全くのハズレで、謝罪することになったら、どんなお叱りも、あえて受けることにします。

***

2019年5月9日 完読したので、書き込みます。

微妙。勝利とも敗北とも、言い難い。多分、敗北に近い。(でも、謝罪はしなくて良さそう)

Aが、BとCを殺し、Bと入れ替わる。死体はBのもの。ではCの死体は?

と、考えていたけれど、

Aが、BとCを殺し、Bと入れ替わる。死体はCのもの。ではBの死体は?

という展開だった。

結局、私に分かったのは、白いゴムの仮面の人物が入れ替わっているということと、動機に女性が関連していることだけ。後の詳細は、全くわかっていなかった。綾辻行人のトリック構成は凄い。

たった一つの不満は、館の主人のうら若き妻の描写だ。震えたり、怯えたり、倒れたり。1980年代の女としてはありえない、古いタイプの女性。まるで「塔の中に閉じ込められた姫君」だ。

やはり、本格ミステリーには、豪邸、嵐、壮大なトリック、血まみれの惨劇、に加えて、このような「美女」の存在が欠かせないのだろう。でも、私の好みではない。













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コメント 4

middrinn

犯人が判ったら最後まで読む必要はないような気もしますけど、
やはり答え合わせの意味で最後まで読むべきなんですかね^_^;
by middrinn (2019-05-06 20:11) 

YURI

middrinnさん

上記の通り、100点満点は取れなかったもので、やはり最後まで読まなきゃ、推理小説はわからないよね〜、という結論。
「水車館」も、上手くできた小説でした。私は、探偵としては有能ではなさそうです(^^;
by YURI (2019-05-10 00:20) 

middrinn

やはり最後の最後まで巻措く能わずな作品がいいですね(^^)
只管ミステリーに挑戦することが名探偵への道かしら(^_^;)
by middrinn (2019-05-10 08:46) 

YURI

middrinnさん

寝食忘れて読みふける…というのが、推理小説の理想ですね。そういう作品に出会えたらシアワセです!

ところで、いただいたコメントの「只管」が読めなくて、辞書引いちゃいました。「ひたすら」って、こういう字だったんですね。勉強になりました(^^;
by YURI (2019-05-13 11:07) 

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