水車館の殺人 綾辻行人 [本]
「十角館の殺人」に続いて、「新本格」も佳境に入る綾辻行人の2作目。
十角館のところに、「私はそういう(名探偵、大邸宅、絵空事のような惨劇と大トリック)作品が大好き」なのだ、と書いた。確かに、水車館の殺人は、水車と塔のある大邸宅、雷の夜の惨劇、白いゴムの仮面の主人、20歳も年下の美少女の妻、と、まあ「これでもか」という大掛かりな道具立てなのである。
ところが、実は未だ完読できない。
何となく、犯人が分かっちゃったような気がして。
いや、最後まで読まなければ、事件の詳細は決して明らかにならないことは分かっている。でも、白いゴムの仮面を被った男が出てきた時点で、中身がすり替わっていると考えるのは自然。(だって、つい角川映画の「犬神家の一族」を連想してしまうから)
物語の構成は、1985年と1986年の9月の出来事が、交錯しながら描かれている。85年の方は誰のというわけでなく俯瞰した視点から、86年の方は白い仮面の主人の独白の形で。
この視点の違いによって、巧妙に犯人が誰なのか隠されている(ような気がする)。
でも、最初から「白い仮面の男」を怪しいと思ってしまったら、やっぱり、違うんだよね。85年と86年では。(そんな気がする)
というわけで、なかなか先へ進まないうちに、他の本に手をつけなどして、うだうだ。
この作品を完読して結末を知っている人は、きっとこの文を読んで、「ばかだなあ」と冷笑するかもしれない。全く意外な犯人、意外な結末、意外な動機や犯罪の背景が、この先に描かれているのかもしれない。
だから、完読したらここに戻ってきて、謝罪なり勝利宣言なり、させてもらうことにします。
全くのハズレで、謝罪することになったら、どんなお叱りも、あえて受けることにします。
***
2019年5月9日 完読したので、書き込みます。
微妙。勝利とも敗北とも、言い難い。多分、敗北に近い。(でも、謝罪はしなくて良さそう)
Aが、BとCを殺し、Bと入れ替わる。死体はBのもの。ではCの死体は?
と、考えていたけれど、
Aが、BとCを殺し、Bと入れ替わる。死体はCのもの。ではBの死体は?
という展開だった。
結局、私に分かったのは、白いゴムの仮面の人物が入れ替わっているということと、動機に女性が関連していることだけ。後の詳細は、全くわかっていなかった。綾辻行人のトリック構成は凄い。
たった一つの不満は、館の主人のうら若き妻の描写だ。震えたり、怯えたり、倒れたり。1980年代の女としてはありえない、古いタイプの女性。まるで「塔の中に閉じ込められた姫君」だ。
やはり、本格ミステリーには、豪邸、嵐、壮大なトリック、血まみれの惨劇、に加えて、このような「美女」の存在が欠かせないのだろう。でも、私の好みではない。
タグ:日本のミステリ
犯人が判ったら最後まで読む必要はないような気もしますけど、
やはり答え合わせの意味で最後まで読むべきなんですかね^_^;
by middrinn (2019-05-06 20:11)
middrinnさん
上記の通り、100点満点は取れなかったもので、やはり最後まで読まなきゃ、推理小説はわからないよね〜、という結論。
「水車館」も、上手くできた小説でした。私は、探偵としては有能ではなさそうです(^^;
by YURI (2019-05-10 00:20)
やはり最後の最後まで巻措く能わずな作品がいいですね(^^)
只管ミステリーに挑戦することが名探偵への道かしら(^_^;)
by middrinn (2019-05-10 08:46)
middrinnさん
寝食忘れて読みふける…というのが、推理小説の理想ですね。そういう作品に出会えたらシアワセです!
ところで、いただいたコメントの「只管」が読めなくて、辞書引いちゃいました。「ひたすら」って、こういう字だったんですね。勉強になりました(^^;
by YURI (2019-05-13 11:07)