映画「ダイヤルMを廻せ」と「ダイヤルM」 [映画]
立て続けに二本の映画を見た。
一本は、アルフレッド・ヒッチコック監督の「ダイヤルMを廻せ」。
1954年の作品で、主演はグレース・ケリーとレイ・ミランド。
もう一本は、そのヒッチコック作品のリメイク版「ダイヤルM」。
1998年製作、主演はグウィネス・パルトロウとマイケル・ダグラス。
ヒッチコック版はロンドン、リメイクはニューヨークの高級住宅が舞台となっている。お金が必要な夫、財産家の妻、妻には愛人がいる。夫は妻を殺して遺産を手に入れようと殺人を依頼する。
そこで妻が殺されてしまえば、普通の推理ドラマなのだが、その殺人者が逆に抵抗する妻に殺されてしまう、というのが意外な展開。
夫は必死で証拠を隠そうとし、さらに、妻に罪を着せようとする。
ヒッチコック版は、舞台劇のような構成になっていて、ほとんど屋外のシーンが無い。推理の展開も、本格的。殺人者は鍵もないのにどうやって部屋に入ったのか、それは妻がわざと彼を呼び寄せて、正当防衛に見せかけて殺したのでは無いか、というもので、妻は逮捕され、死刑判決が出るところまで追い詰められる。
しかし、夫によるトリックだったということが発覚。妻はギリギリのタイミングで助かる。
推理小説によくあるけれど、犯人が証拠隠滅を計って色々する小細工が、結局犯罪の証拠となってしまうパターン。
グレース・ケリーは綺麗だし、レイ・ミランドは容貌からして一癖あるし、トリックもよく出来ているし。さすがヒッチコックという感じ。
リメイクの「ダイヤルM」は、それをさらに捻って、夫が殺人を依頼した者がさらに殺し屋に殺人依頼をし、妻に殺されるのは殺し屋。夫は、最初の依頼者に恐喝される、という展開。
ストーリーに破綻はないが、ヒッチコック版が「鍵」をトリックの鍵にしているのに比べると、「鍵」の印象は弱まっている。そして、夫の底知れない恐ろしさが際立つ。
両方ともたいそう優雅な暮らしぶり。ロンドンの方はリビングルームとベッドルームの2部屋だが、贅沢な調度品や夫がケンブリッジを卒業していることなど、さりげなくクラス感が盛り込まれている。
ニューヨークの方は、書斎だのクローゼットだの、玄関から奥の映像が果てしなく広い。まるで博物館で暮らしているような感じ。妻の資産は約1億ドルという実数値まで登場。
妻が夫を、夫が妻を殺す、というミステリー小説は多いが、こんな風に映像化されると、結構生々しい。財産家で、夫と不仲な妻は要注意だ。100億円の資産のある奥様は、お金の苦労をしている夫は持たない方がいいのかも。(そんなお金持ちの奥様を、私は一人も知らないけれどね。)
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