映画「ガス燈」 [映画]
今日は1944年製作の映画「ガス燈」をAmazonプライムで鑑賞。
イタリアで出会った音楽家と結婚し、彼の希望で、長年空き家になっていたロンドンの家に住むことになった若い女性。これが最高に綺麗なイングリッド・バーグマン。
そのロンドンの家とは、彼女叔母で育ての親である有名なオペラ歌手が殺された家。
その家に住むようになってから、彼女は物忘れがひどくなり、夫からは盗癖を責められ、家庭に引きこもるようになる。
さらに、夫が夜仕事場に出かけると、屋根裏で人が歩くような音がしたり、ガス燈の火が暗くなったり、奇妙なことが起こり、彼女は自分自身が精神病なのだと信じるところまで追い詰められていく。
そんな彼女を救うのが、スコットランドヤードの(?次長と呼ばれているから相当偉いらしい)ジョセフ・コットン。
女は、彼に一つ一つ理論的に説明されて覚醒していく。
結局は、全て夫の陰謀なのだけれど、詳しくは作品を見て欲しい。
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白黒の画面に、霧の夜のロンドン。ぼんやりとしたガス燈の中で、精神的に追い詰められていく女の描写がぴったりマッチして、バーグマンはアカデミー主演女優賞を受賞している。
だいたい、イングリッド・バーグマンという人は、割と大柄で、首や肩などもたくましく、神経質な印象は全くない女性。それに、瞳も知性を感じさせるから、それでも夫に追い詰められていく弱々しい妻に見えるのは演技力の賜物だろう。
そして、彼女を追い詰める夫のシャルル・ボワイエが、本当に冷酷そのもので、これも素晴らしい。
ボワイエの身のこなしを見ていると、古い時代の紳士はこのようだったのだろうと思える。帽子の扱い、女性のエスコートの仕方、コートの脱ぎ方など、全てが自然で優雅。
ボワイエは1899年生まれのフランス人。のちアメリカに渡った。古い映画を見る楽しみは、こういう俳優や女優を見られることだろう。
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