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映画「うちの執事が言うことには」 [映画]

ショッピングモールをぶらぶらしていて、なんとな〜く、チケットを買ってしまったのが「うちの執事が言うことには」。

キーワードは「執事」。
ポスターは若い男の子ばかりだったから、カズオイシグロ「日の名残り」のような執事の物語を期待したわけではなかったが、ミステリー小説が原作となっているらしいし、和製の執事がどんな風に描かれているのか見たくなった。

で、見始めると、これは軽〜くみられる少女漫画テイストの映画。
劇中で起こる事件も殺人未満で、「血まみれの惨劇」や「大がかりなトリック」、社会の歪みや人間性の悲劇などとは無縁である。

名門烏丸家の若き当主と、同じく若き執事が、事件を解決する中で互いの信頼を築き、その他の使用人や友人との絆を深めて行くと言う、なかなか「いい話」なのだった。

見ているうちに「あれ〜?、どこかでこういうの、見たかも」という思いがどんどんふくらむ。

そして、気がついた。
これは、昔テレビでやっていた時代劇にそっくりな展開なのだ。

例えば、どこかの旗本が隠居して、若様が家督を継ぐ。まだ若く、未熟な若様。大抵は「わか」などと呼ばれる。そして、その家には忠実な家老がいて、「わか」をお助けするのである。

「わか」の方は、うるさがって反抗しつつも、家老の愛情は信じているから、何かと頼りにする。家老が老人の場合は「じい」と呼ぶが、この映画では「じい」ではなく、ハンサムな若者である。

さらに、この旗本家にはご家中の「侍」、お供の「中間」、植木の手入れをする「庭師」、料理や掃除をする「奥女中」、その見習いの「小女」などがいる。

彼らは運命共同体であって、お家の安泰のためなら命も捨てる覚悟だが、そこに単なる職業意識以上の「情」が絡んで、皆が若様をこよなく愛しており、若様の方も「家中」を命がけで守ろうとする。その自覚によって「名君」に育って行くのである。

そのような人間関係が、本当に江戸時代にあったかどうかは、私はわからない。
ただ、テレビの時代劇では、こうした物語が繰り返し描かれ続けてきて、ずっと人気を博してきたのである。

「うちの執事が言うことには」で描かれるのは、西洋風のお屋敷での生活、主人と執事、家政婦、運転手など英国風の人間関係だが、これは和風を洋風に置き換えただけで、そこに流れる感情は、「大岡越前」「遠山の金さん」などと全く同質のものなのだ。

それを踏まえて考えると、この映画は、日本中、老若男女、誰でも楽しめる作品と断言できる。それは、すでにかなり昔から、小説、テレビ等で実証済みだからだ。

最後まで見たら主演と助演がジャニーズの子で、これは多分にファンサービスの要素たっぷりの作品であるらしい。最後までそれに気がつかない私って、そして、この映画を見て大岡越前などを連想している私って、かなり時代遅れなのかもしれない。

なんだか、ショック・・・





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