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熱帯の果物 [ブログ]

行きつけのスーパーに果物を買いに行った。今は柑橘類がおいしい。私はデコポンが好きなのだけれどそろそろ終わりらしく、「はるみ」という、デコポンに似た甘いみかんを買ってきた。柑橘類が終わると、メロンやさくらんぼが出始めるまでは、キウイやパイナップルなど、庶民的な舶来品で凌ぐことになる。

以前、東南アジアで暮らしたことがあって、その時は、熱帯の甘い果物を食べるのが楽しみだった。スイカ、パイナップル、バナナは定番。年中いつでも食べられた。マンゴーは食べごろの見極めがちょっと難しかった。

中でもお気に入りは、マンゴスチンとランブータン。

マンゴスチンは、握り拳より少し小さいくらいの果実。黒い殻を割ると、中から真っ白い果肉が顔を出す。ドリアンほどクセはないが、熱帯の果物らしくねっとりと甘味が強い。近所のスーパーは外国人向けで、日本産のりんご「ふじ」や、韓国産のすごく大きな固い梨などもあったが、あちらとしては輸入物だから値段は高くて買う気にならない。それに比べると、マンゴスチンはお買い得な気がしていた。

ランブータンは、柔らかいトゲのある真っ赤な皮をツルリと剥くと、ライチにそっくりな果肉。中国人好みなのか、中国人の多い地区では、枝ごと束ねて売り歩く人がいた。

ランブータンの木は郊外に行くとよく見かけた。農家の庭先に植えられていて、結構大木になる。いつも同じように暑い熱帯でも、ランブータンは収穫期があるらしく、大きな木に、真っ赤なランブータンが鈴なりになっている風景を見ると、日本の農家の庭先の柿の木さながらである。「実りの秋」のノスタルジックな気分になったものだ。

あの国のことを思い出す時、いつも真っ先に蘇るのは、熱帯の果物のむせ返るような匂いだ。季節になると山積みにして売っていたドリアンの強烈な香りが、街に染み付いたように、いつでも漂っていたような気がする。日本では決して嗅ぐことのない香りだから、あの暑さ、あの人の多さ、強い日差しとワンセットになって、記憶の底に刻み込まれているようだ。

欧米に比べれば近いから、いつでも行ける。そう思いながら、長いことあの国には行っていない。行きたい、と、寒い季節や、曇りがちな日にはいつも思うが、当分行くことはできそうもない。


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